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Chusday

Chusday

何十年も変わらぬ洋服への愛情

TOKYO BASE 以下 T)今日は宜しくお願いします。

Chusday  逸見 以下 H)宜しくお願いします。

T)Chusday(チューズデイ)を最初に立ち上げたきっかけを教えてください。

H)2013年の10月頃にブランドを立ち上げたんですが、それまで長くアパレルの販売員をしてて、いつかは自分のブランドを出したいなって思ってたんですね。ただ、一時期、事情があって飲食店に一回移ったときがあったんですけど、正直楽しくなかったんですよ。その時色々と葛藤があってどうしても洋服やりたいなって思ってて、その気持ちが高まっちゃって。そこでまた販売員なのか、プレスとか生産に携わるのかっていうのを色々考えたんですけど、今が服を作る時期なのかなって感じて立ち上げました。

T)Chusdayというブランド名の由来は?

H)由来は、僕のあだ名なんですよ。ブランドでは自分が好きなものを自分で発信したいっていうのが根底にあったので、中学生のときから呼ばれてた「チュー」を付けようと思ったんです。

T)なんで「チュー」というあだ名なんですか?

H)僕が中学校の時に、好きなブランドだったGOODENOUGH(グッドイナフ)を取り扱ってる洋服屋さんがあって、そこのオーナーに歯が出てるっていう理由で、ねずみのちゅーと、中学生ということで付けられました。(笑)友達とか、先輩とか、後輩までもチューとか、チュー君とか(笑)僕もあんまり悪い気がしなくていいかなって(笑)

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T)当時はどんな洋服を着てたんですか?

H)それこそグッドイナフとか王道ですよね。裏原系の前にノーウェア系っていうのがあったじゃないですか。LAST ORGY(ラストオージー)とかずっと読んでたんで、グッドイナフ、UNDERCOVER(アンダーカバー)、APE(エイプ)とか好きだったんです。だけど、その当時地元では本当に誰も着てなくて。しかも中学生で最年少だったので、年上の人から珍しいというか、本当にマセてんなーお前みたいな(笑) 中学生の癖によーみたいな(笑)お前チューだなーみたいな。そういういじられ方で(笑)もう当時は親から嘘ついてお金もらってーみたいな(笑)

T)じゃあ、中学の時から裏原の高い洋服を着てたんですね。

H)グッドイナフが91年立ち上げだと思うんですけど、僕が買い始めたのは92年の春ですね。中学二年生の頃ですね。さっきお話した地元山形のショップのオーナーと仲良かったので、意外とサイズもちゃんとしたものを買えたので買い漁ってましたね。

T)その当時情報を得るのはやっぱり雑誌ですか?

H)そうですね。ショップに行って直接聞くこともあるんですけど、かなり雑誌は見てましたね。

T)どんな雑誌をよく見てたんですか?

H)雑誌は毎月BoonとかASAYANを買ってましたね。あと、LAST ORGY系のページを見てて、鳥肌が立たせてたというか、本当にワクワクしてました。中学校のとき教科書の間に雑誌挟んで見て、バレて没収されて。(笑)放課後先生に謝りに行って返してもらうって事もありましたね。

T)雑誌を見るときは何を見てワクワクしてたんですか?

H)着てるものですね。たとえば藤原ヒロシさん、ジョニオさん、NIGOさんが作ってる物ももちろんかっこいいですけど、特に着てるものを見てました。掲載されている人が着てるものが欲しいから、そのページをめっちゃ見て、ちょっとステッチが違うからこれじゃないなーみたいな。色々照らし合わせて、これだ!みたいな(笑)その人たちが着ている物がわかったときに感動したりワクワクしてました。

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T)東京に来たのはいつ頃なんですか?来てからはずっとアパレル関係の仕事を?

H)東京に出てきたのは20歳の頃ですね。仕事はアパレルのほかに飲食店でも働いてたことがありました。

T)どんな経緯だったんですか?

T)高校中退してから、通ってた地元のショップオーナーに服屋やりたいって言ってそこで働かせてもらったんですね。そこで知識が豊富なオーナーに色々教えてもらいながら働いてるうちに洋服への興味が深くなっていって、「いつか東京に行って働いきたいなー」と思い始じめたんです。もっと身近にリアルタイムで刺激を受けたいって思って。昔は今と違って情報が遅れるんですよね。雑誌でも一ヶ月前の情報だったので。思いが強くなって、東京に出て来てアパレルで働いてました。ただ、その当時は本当に給料が安くて、本当にこれで生活できるのか?って感じだったので、夜飲食店で働いたりとかしてました。最後に働いたアパレルはSTUSSYだったんですけど、その後に飲食店に誘われて飲食移ったんですがそこでもう一回アパレルやりたいなって思って最後の決断じゃないですけど、腹括って立ち上げたという。(笑)

T)Chusdayのブランドのコンセプトは?

H)サーフ、スケートといった西海岸のカルチャーをテイストにしたプロダクトですね。海が好きっていうのもあったので。

T)商品を見ると80年代のカルチャーのイメージが強いですよね。

H)そうですね。ドッグタウンカルチャーというか、元々サーフィンがあってのスケートだったりとか。70年代だとちょっと違うじゃないですか。80年代のちょっとコアな感じが好きですね。

T)プロダクトにはどんなこだわりを?

H)全てメイドインジャパンというのがこだわりで、一番こだわってるのはメッシュキャップですね。形から起こして全てオリジナルで作る。今被ってる奴なんですけど、内側にハイピング入れたり、ツバの長さもちょっと短くしたりカーブも緩くしたり、ハチを張らせたりとか全てオリジナルで、生地も工場も全てメイドインジャパンですね。だから物は良いものを作っているっていう自負はあるんですよ。

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-タイミングを逃し、すっと握りしめていたタバコを放り投げ、溢れる気持ちを抑えきれずにバックの中からこだわりが詰まったメッシュキャップを手に取り、僕に見せてくれた。

T)確かに形がめちゃくちゃ良いですね。

H)絶対メッシュキャップは定番で出して行きたくて、ベースになる形はオリジナルで出す。っていう想いがあったので。自分で言うのもアレなんですが、色んなブランドを見て来て、ここまでこだわったメッシュキャップって無いんですよ(笑)自分が理想とするものをやっぱり形にしたいので。パッと見、定番もののメッシュキャップはありきたりなアイテムかもしれないですけど、そこに凄いこだわりを持って作って行けたら、わかってくれる人はわかってくれるのかなって。

T)具体的にどういったところにこだわりを入れてるんですか?

H)こだわりはいくつもあるんですが、ひとつはメッシュキャップの内側のパイピングの色を、カリフォルニア州のカラーが空のブルーと金が取ってたりしてます。あと、メッシュキャップのワッペンもカラーによって、より色に合う素材を変えてます。それと、メッシュキャップの深さも若干深めに設定してツバも少し短くしたります。あえて古いメッシュキャップっぽく見せたくて、ツバが短い分、ボリュームを持たせたくて額の部分のスポンジを半分削って薄くしたんですね。

T)形が決まるまで相当時間かかったんじゃないですか?

H)形になるまでに3ヶ月くらいかかりましたね(笑)あと洗濯表示に洗える表記をしてるんですね。作ってる時に工場の人に洗えるは洗えるけど、あんまりガシガシ洗うと多少型くずれしちゃうが起きちゃうかもしれないから、洗える表示はしない方がいいかもねって言われたんですが、汚れたら放置されたら嫌だったので、自分で試しに4回くらいネットに入れてガシガシ洗濯機で洗ってみたんです。(笑)普通、キャップって洗うと型くずれしてヨレたりするんですけど、自分で作ったものは型くずれしなかったんです。こんな形がくずれないキャップはなかなか無いなとニヤつきました(笑)だから、汚れたときは洗ってもらってずっと被り続けてもらいたいです。

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T)かなりのこだわりですね。なぜメッシュキャップにしたんですか?

H)僕自身が大好きというのがあって、ほぼ毎日被ってるんですよ(笑)あと西海岸が好きで、要はアメカジ、古着が好きだったので、メッシュキャップが僕の中で定番かなって思って。中3高1くらいのときにビンテージのLevi’s BigE のSタイプを買ったりとか。そりゃもう20何万円とか当時めちゃくちゃ高かったんですけど(笑)

それくらいビンテージ好きなんで、アメカジが根本にあるのかもしれないですね。くたくたになっても被れるアイテムっていうかカバンに突っ込んでもそのまま被れちゃうみたいな(笑)

T)アイテムを作る際に意識していることはありますか?

H)西海岸よりどこか現代風というか、今のスタイルに合うことを意識してます。自分の解釈になってしまうんですが、当時のカルチャーはかっこいいけど、ファッション的にそこまでかっこいいか?って言われると、もっと現代風にサイジングだったりとかをアップデートしてアプローチしたほうが良いかなって思ってます。

T)今はどれくらいリリースされてるんですか?

H)Tシャツ5型キャップ1型ですね。今は1店舗だけなんですが、吉祥寺にナックルヘッドっていうお店に置いてます。あとはネットショップのみですね。

T)昔から変わらないこだわりってありますか?

H)スニーカーはVANS(バンズ)しか履かないですね。

T)何足くらい持ってるんですか?

50~60足持ってます。ほとんど履いてないですけどね(笑)買って満足ですね。基本ローテクが好きで、CONVERS(コンバース)とかVANS(バンズ)ですね。ただ、コンバースは持ってますけど履かないですね(笑)本当にバンズしか履かないです(笑)だから、Chusdayはバンズで合わせてもらえたら本望です(笑)

T)そうなんですね(笑)洋服を買いにくるお客さんの今と昔の変わったなっていうのって感じたりしますか?

H)よく友達と話すんですけど、コミュニケーションが少なくなったって感じます。昔は同じブランドの服着てるとそれで仲良くなったりしたんですが、今はあー被ってんなーくらいで(笑)田舎っていうのもあるんですけど、地元の隣の宮城県仙台に、ANYWERE(エニーウェア)ていうノーウェアの姉妹店があって、グッドイナフ、アンダーカバー、エイプとか置いてて、たまに遊びに行くと全然知らない人でも声をかけてくれたりして。エニーウェアに限定品とかも売ってたりして、入ったら連絡してあげようか?とか代わりに買ってあげようか?とかあったりしましたね。そういのが無くなったというか時代なのはわかるんですけど…すこし寂しいと感じるところはあります。

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T)そんな中、作り手としてどうありたいと思っていることはありますか?

H)アイテムを作るとき業者に頼んではいますが、最後に自分で一手間加えることを心がけています。僕が中学校の時に修学旅行が東京だったんですけど、コース決めて原宿のノーウェアに行った時に、まだNIGOさんが店頭で立ってて販売してたんですよ。そういうのいいですよね(笑)その当時の良さというか。全部じゃないですけど、自分達で手刷りしてそれを売ってたりとか。アンダーカバーとかONE&ONLYでハンドメイドで一点物を作ってたりとか。そういう物作りが薄れてるのかなって。だから、僕の中でどこか一カ所に自分の手を加えるっていうのがコンセプトで、値札は手書きで書くとか、どこか手刷り入れるとか、Tシャツも首裏の部分に手書きデザイン書いてシルクスクリーンで印刷したりとか。Tシャツの裾の部分もワッペンを自分で貼ったりしてます。Chusdayは一人でやってるので、値札も袋詰めも検品して畳んでっていう(笑)楽しいってのが一番ですね(笑)寝れない時もあるんですけど、苦にならないという(笑)

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T)今後どういったプロダクトや展開を考えてるんですか?

H)春夏で、ショーツとTシャツとシャツを考えてますね。今後も海沿いにスケートパークがあって、スケートやってる人もBMXやってたり、スケートやりながらサーフボード担いでたりとか、本当にベニスビーチみたいな80年代のローカルな光景を自分なりの解釈でプロダクトに投影していきたいと思っています。

T)今日は本当に楽しい話ありがとうございました。

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