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BASTER CRAY

BUSTER CRAY

少年時代の憧れをそのままに

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TOKYO BASE 以下 T) BUSTER CRAY(バスタークレイ)を立ち上げるきっかけはなんですか。

BUSTER CRAY 松村 以下M)元々10代の頃からスケボーをやっていて、なんていうんでしょうね・・・着ている服なんかもスケボーのブランドのTシャツとかしか着てなかったんですよ。それで大人になってきて、着たい服っていうのが何を着ていいんだろう?ってわかんなくなってきて…で、今現役バリバリでスケートをやってるわけじゃないんで、今スケーターみんなが着ているようなブランドを着るのもちょっと違うな・・・って思って(笑)そういう世代でもないしなーって思って作り始めたんですよ。そこからテーマを決めようって思って決めたのが・・・・・・ザリガニだったんですね(笑)

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T)そうなんですね(笑)なんでザリガニだったんですか?(笑)

M)飼ってるわけじゃないんですよ(笑)なんなんすかねー、嫌いじゃないんですよ・・・ノスタルジックな所が(笑)フォルムも好きで。かっこいいなーって(笑)なんか、そういった、こう・・・存在感ですね。

T)理屈じゃなくですね(笑)スケボーも歴は長いんですか?

M)いや、10代から20代前半くらいまで、毎日やってましたね。でも、そこからは全然(笑)

T)パークとかで滑ってたんですか?

M)いや、ストリートですね。その当時パークって全然なかったんですよ。今、43歳なんですけど、20年ちょい前くらいですか。今みたいにパークもないし、滑るとしたら家の近所とか、どっかの公園とかでやっていて。

T)服飾の勉強などは学校とか通われたんですか?

M)いや全然通ってないです。そういう世界では勉強したことはないですし。洋服が好きというより80年代後半から90年代前半くらいのスケートのカルチャーのモノが好きですね。

T)その時代で影響を一番受けたモノはありますか?

M)音楽はスケボーのビデオに流れている、パンクだったりとか、王道でメタリカだったりAC/DCだったりも大好きだったんで。そういうのですね。でもガリガリなパンクロックが好きでライブ行って、はしゃいでとかではないですけど(笑)

T)ただ、当時はまだスケートボードのビデオもそこまで数は多くないですよね。

M)そうですね。だから当時は友達にダビングしてもらったものを回して回してといった感じだったので、映像もめちゃくちゃ悪くて(笑)しかも、もう一回観たいなって思ったところは何回も巻き戻して再生して、ここだってところは一時停止とかするので、どんどん映像が劣化するっていう(笑)だからDVDが出たときは便利だなーって感動しましたね。

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T)スケートを始めたきっかけってなんですか?

M)友達がやってたからですね。なんか自分で、アクションが出来る、クォーターパイプとか作ったり、木を買って来て友達と作って。ガンガン作って、高速道路したの空きスペースに置いてやってて。で、知らないうちに撤去されてて。やべー撤去されちったーって(笑)ときには撤去する人も気を使ってくれて、なんかこれ撤去しなきゃいけないんだけど、どうする?材料とか取る?って(笑)いや…どうぞ壊してください!どうぞ!覚悟してるんでって(笑)

T)撤去する人、優しいですね(笑)じゃあ、そこでスケートやってる事は知られてたんですね(笑)

M)そうですね、原チャリのシートの下にスケボー入れて、みんなで集まってやってたんで(笑)

緊張が和らいできたのか話が盛り上がり、純粋なスケートボードへの想いがトークを加速する。ブランドを立ち上げからの奇跡の出来事を嬉しそうに語ってくれた・・・。僕はワクワクしながら聞いていた。

T)最初はどんなプロダクトを作ったんですか?

M)Tシャツです。もうTシャツだけです。今も冬場にパーカー、シャツをちょこっとやりますけど、やっぱりメインはTシャツですね。

T)Tシャツのデザインはどういう所にこだわってるんですか?

M)もう、その時の匂いを残したいという。80年代後半から90年代前半くらいのスケートのカルチャーの。あと僕の趣味をちょっと。だからバンド物だったり、あと、その当時のスケートのブランドのデザインをサンプリングしてやって。

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T)影響を受けたブランドはありますか。

M)特にALVA SKATE(アルバスケート)っていうブランドのトニーアルバのことが昔から大好きですね。やっぱりブランドによってスケートのスタイルやファッションが違うんですよ。あそこのブランドチャラいなとか、渋いなっていうのがあって。そういうブランドそれぞれに雰囲気がある中で、僕はアルバスケートが大好きで。で、そこのデザインをサンプリングしてザリガニにモチーフを変えてやっていますね。で、インスタグラムでも載せてたら、トニーアルバがパンクバンドやってるんですけど、そこのヴォーカルの奴が、「ちょっとこれステージで着たいから送ってくれないか?」ってメッセージをインスタグラム経由で送ってきて、・・・うへぇ!?トニーアルバが俺のシャツ着るのか!?って思って。これどうしよう!?怒られるかなって・・・(笑)一応聞いたんですよ。「トニーアルバは怒ってないですか?」って(笑)「全然怒ってないよ!」って来たので、「じゃあ送ります!!」って(笑)で、それでLAにヴォーカルの自宅に何枚か送ったんですよ。で、ライブがあって着たのかな?って思ったら着てなかったんですよ。おいおい、ちょっとなんだこれ…ってなって。(笑)「どういうことっすか?」っみたいなメールも送って。でも、その・・・なんて言うんだろう。俺にとっては雲の上の存在の人なんで、そんなに怒れないし(笑)「お前・・・これシッピングでいくらかかってると思ってんだよ~」って(笑)で、戻ってきた返事が、「あとで写真と俺らのCD送るよ!」みたいなノリだったんで、「じゃあそれ宣伝で使わせてもらってもいいですか?」って言ったら、それについて何も返信ないし。お前ふざけんなよーって(笑)で、「トニーアルバはこれ見たんですか?」って言ったら、「俺はシャツは渡したよって。でも着なかった」って(笑)でもなんでお前も着てないんだよ!って(笑)ショックを受けましたねーあれは(笑)でもそういう人と薄いなりにも繋がったっていうのは嬉しくて。

T)でもテンションあがりますね!それ。

M)めっちゃくちゃ上がりました。上がって落とされましたね。あっ…着てねーって。その他にアメリカに送った事があるのがSkatemaster Tate(スケートマスターテイト)っていうアメリカのスケボーの番組「SK8TV」のMCやってたり日本でもライブやるミュージシャンがいるんですけど、その人もインスタグラムで繋がって、「俺にもシャツを送ってくれ」みたいな。その人はちゃんと“ありがとう”って英語でラップしてくれたりして。スケートマスターテイトも、スケボーやってる頃に曲聞いたりして、スケボーのビデオでもかかったりしてた人なんで、やっぱり嬉しいなって。

T)着たいってサンプリングしたブランドの本人に言われるのが凄いですね。それはいつ頃なんですか?

M)2013年ですかね。立ち上げてすぐですね。インスタグラムってタグ付けられるじゃないですか。トニーアルバやアルバスケートのタグを付けてたんで。その人も見たんでしょうけど。アレはテンション上がりましたね・・・。昔、アルバスケートのシャツが流行ってたか?って言ったらそうじゃなかったんですよ。その一部のコアなファンが着てたくらいで。今でもそのサンプリングをしたから売れるか?って言ったら売れるようなブランドではないんですけど、僕はどうしてもそれが根底にあって、それがやりたいっていうのがあったんで、そこに食いついてくれたのが嬉しくて。

T)願いと想いが伝わったんですね。アルバスケートとザリガニをミックスしたデザインはどんなところですか。

M)タグとかのデザインで、4本ラインにしているものがあるんですけど、アルバスケートが5本ラインなんですよ。スクラッチっていうデザインで、モンスターが引っ掻いたデザインなんですけど、バスタークレイのテーマはザリガニだから両方のはさみで引っ掻いたイメージで4本にしたんですよ。

T)アルバスケートをサンプリングしてるって事は、やはり古着屋さんを巡って探すんですか?

M)アルバは・・・そうですね。古着屋で検索すると、当時のデッドストック物とかあったりしますね。でもアルバのシャツ自体を日本では売ってないです。スケートやってて古い人は知ってますけど。ただ、ちょっと前に「Lords of Dogtown(ロードオブドッグタウン)」っていう映画ができたんですけど、それの主人公がトニーアルバだから、知っている人も中にはいると思います。

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T)“ BUSTER CRAY(バスタークレイ)”っていうブランド名ってどんな意味合いで?

M)これもですね。ブランドとコンセプトを決める時に、当時SKA(スカ)も好きだったんですけど、ロンドンのBAD MANNERS(バッドマナーズ)っていうSKAのバンドがあって、そこのヴォーカルがスキンヘッドで太ってる奴で凄いかっこいいんですよ。そいつの名前がバスターだったんですね。で、バスターってかっこいいなって思ってて。でもバスターだけじゃなんか・・・ブランド名として格好悪いなーって思って。で、まぁザリガニって英語でCrayfishって言うんで、そのCrayをとって“BUSTER CRAY”にしようって。

T) バスタークレイのロゴのザリガニ可愛いですね。

M)ポケットTシャツのデザインはAC/DC(エーシーディーシー)ってバンドあるじゃないですか、それの日本版だけなのかな・・・CDに付いてるロゴが、顔がギターリストのアンガスヤングの顔なんですけど、それを全部ザリガニに変えて。他にもトニーアルバも好きなパンクバンドのBLACK FLAG(ブラックフラッグ)ていうバンドがあるんですけど、そのバンドのTシャツで中指立ててる絵があったんですよ。その雰囲気のやつをザリガニで作ってやろうと思って。

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T)結構バンドTからサンプリングされてるんですね。

M)そうですね。でもAC/DCとBLACK FLAGだけですね。サンプリング的に自分の匂いが出せるのがその二つのバンドだと思ってるんで。スケートのその時代の洋服っていつ着てもかっこいいんですよ・・・。

T)今後のバスタークレイの展望はありますか?

M)いやー…色んな人に見てもらいたい、知ってもらいたいっていうのはありますけど、こういうのを出すとインスタグラムとかでも、同じ年代、同じ趣味の人達が反応してくれるんですよ。「あー、いいすね」って。そうすると、やってよかったなって思いますね。そういう人達にいいなって思ってもらいたいんで。

T)じゃあ同世代のスケートカルチャーに触れて来た人達の輪を広げていきたいって感じですね。

M)そうですね。その人達が、このTシャツを見て反応してくれたら嬉しいですね・・・。

自分の匂い・・・それは自分が歩んだカルチャーでしか生まれない感覚なのかも知れない。自分の根底に染み付いた、消せない憧れや思い。それを共感してくれる世代が居る事に喜びを共有できる嬉しさ。その匂いを信じ、また愛し、プロダクトに落とし込む作業。松村さんの話を聞いて僕だけの匂いとはなんなのか・・・振り返る事にした。

–Skatemaster Tate,R.I.P.

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