COLLECTION

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SHOESHINE ORIGINAL

“SHOESHINE”という言葉に込められたブランド意義

Guest:Kaname Matsubayashi

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T.B)帰国後立ち上げた会社では音響のプロデュースなどをされているということですが、あえてアパレルブランドをやろうと思ったきっかけは何だったんでしょうか?

松林) SHOESHINE ORIGINALを立ち上げたのが2011年なんですけど、きっかけになったのが東日本大震災が起きたこと。自分の息子は生後半年くらいの時に、彼と同じくらいの子供達が被災されたり、被害にあわれたりとか、、、日本中が凄く暗い。僕はその時まだ千葉のラジオ番組のディレクターをやってて、自分に出来る事は、音楽をかけたりとかする事だったんですけど、一番の被害にあわれた方達は東北の方にいらっしゃって。その人達にいくら千葉から電波を飛ばしたって聞こえない。千葉の方達を勇気づける事が出来たとしても、全国各地にそんな事は出来ないし。何が出来るんだっていうのを考えてた時に、嫁とその一年くらい前に夢物語で自分たちのブランドを立ち上げられたらいいね。って話をしてたんですよ。あ~ここでやるしかないかも、、、やってみようかって。

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T.B)ブランド名の「SHOESHINE」にはどんな意味がこめられてるんでしょうか?

松林)元々Shoeshineって“靴磨き”っていう意味なんですけど、子供達の足元をずっと照らしていきたいって言う意味で“Shoeshine”って名前を付けたんです。未来に続く子供達の足元、自分の子供含め、、、そのために自分たちが今何ができるんだっていうのから始まって。元々は子供服とか、小さなトートバックを作ってたんですよ。だけど、それじゃ利益はそこまで上がらないし、自分たちが目標としている、売り上げを寄付するっていうのも、そんなに寄付できるほど売れない。じゃあどうしようかって、、、じゃあ思い切って、自分が絵を描くのも好きだったし、16歳くらいのときに自分で服をカスタムしてたように、自分で着たいものをまず作ろうって。Tシャツとか、パーカーとかその類いのものも作り始めたんです。だから基本的にはハッピーな事。ハッピーなデザイン。

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ただ、一個だけ今でも思ってるんだけど、良い物を作り続けても売れない。っていうのがあって、、、ハッピーな物ばかり作ってても売れないし、自分たちがいいなって思うものばかり作ってても売れないし…。どっか世の中の動きを見なきゃいけないし。だから、、、あの、、、正直言うと、スカルのデザインとかもあったんですよ。世の中でスカルのデザインも多かったりもしたし。でもそれを出すと、お前達寄付とかそんな事言ってて、スカルやってんのかよみたいな。苦情とかも凄いあって。だけど、それは僕たちは元々のきっかけは寄付する。世の中に何かしらの貢献をするために立ち上げたからスカルだろうが、なんだろうが汚い言い方をすると、売れりゃいいんだよ。売れて、その利益が国のため、世の中のため、今のためになればそれでいい。売れなきゃ意味が無いから売れるものを作る。ただ、そういいながらも僕たちの中でもコンセプトはちゃんとあって、大人が着れる、ファストファッションではなくて使い捨ての洋服ではなくて、ずっと着てもらえる。あとはデザインにしても来年着てても着れるデザイン。なので、Tシャツ自体も何度洗ってもらってもベロベロになる事のない生地を使う。

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T.B)デザインもスタイリッシュですよね。結構…40代50代の方が着てもいいですよね。

松林)Tシャツ自体も8000円くらいなんですよ。なんでそこまで値段を上げたかと言うと、簡単に買えないよ。っていう僕たちからの意思表示。簡単に買えるものは簡単に捨てちゃうんで。簡単に捨てれないもの。買ったらずっと着たくて洗濯したら、ちゃんとシワ伸ばして、襟元からハンガーを入れるなんて絶対にしない…やっぱり人って、あっこれ高かったからなって。いうのあるじゃないですか。そうしてもらう物を作りたくて。僕たちがこだわってる所は、日本にお金が落ちる事が目的なので、タグ、プリントから全部日本の工場使って。プリントに関してはシルクスクリーンは手で職人が刷ってるんですよ。機械を使ったりとか、今だとインクジェットも全然できるし、大量生産でコストは全然安いかもしれないですけど、手刷りにこだわる。そうやる事で、またその工場にお金が落ちるし。お金が日本で回るっていうところにこだわる。

T.B)デザインは全て松林さんがやってるんですか?

松林)はい。全部やってます。うちで最近一番人気のフォトTに関しては、NYで知り合ったTOKIO KUNIYOSHIっていうフォトグラファーが居て、彼の作品を見せてもらった時に、いやぁ…っていう打ち抜かれた感(笑)やべぇこれ。くらった…これTシャツにしたいって思って(笑)でも、したいって思った時がうちのブランドがそれを扱えるほどの器じゃなかったんですよ。それで一年くらい経ってからかな、、、ブランドを全部一新しようって。完全にハイブランドにしていこうってなった時に、一発目に電話して使わせてくれって。事情を説明して、君の作品が必要だから貸してくれって。それで提供してもらったというか。

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“Three wise monkeys”
三猿:「見ざる聞かざる言わざる」という叡智の3つの秘密を示しているとされる

T.B)その交渉もこの写真が使いたいからって?

松林)そうそう。ピンポイントです。

T.B)一年間ずっと片思いしていたみたいな感じですね(笑)

松林)いやぁ~ずっと(笑)ずっと、、、ずっとこの写真ヤバいって思ってて(笑)彼の作品っていうのはすごく良いのいっぱいあるんですけど、これ(写真:上)なんて日本人もわかるし、世界中の人達がみてわかるんです。外国人のモデルを使ったものって結構あるんですけど、アジア系の人のフォトTでかっこ良くて、意味があるものってなかなかなくて。モノクロにしても全く持って地味にならないというか。それで、、、どうしてもこれを余計な物を付けずに、ドンと胸に入れたいって交渉をしていたら、、、全然使ってーみたいな。でもまぁ、、、それだけの思い入れがあるんで、一番人気はあるんです。

T.B)やっぱり着てる人を見るとテンション上がりますか?(笑)

松林)超上がりますね(笑)この前は銀座で食事した時だっけかな、、、帰りがけにお店の方に「昨日か二日前に同じの着てる人見ました!それどこで売ってるんですか!?」って話しかけられて「僕が作ってます」みたいな(笑)

T.B)やっぱり自分が発信したものをキャッチしてくれている人がいると嬉しいですよね。

松林)嬉しいですね。ただ、どんな風に着てくれてるかなっていうのは気になりましたね。やっぱり想いがあって作っているのでパジャマにはされたくはないし。

T.B)そうですよね、、、例えばどんな風に着こなして欲しいっていうのはありますか?

松林)あくまで作り手なので特にそういった事は無いです。その人に似合ってさえいれば良いんですね。僕のファッションにも言える事なんですけど、例えばこのTシャツが映えるように組み上げる。その時に安物のジーンズだろうが、ボロボロの靴であろうが、Tシャツが一番良く見えればよくて。いつも綺麗な格好をしてなくていい。っていうのが僕のこだわりであって、一点豪華主義じゃないですけど、、、それが、僕が作ったTシャツが主役になっているかどうか?っていうのも気になるんですけど、全てにおいて作ったTシャツが彼のファッションを崩してないかっていうのも気になります。だったら、「あ~絵が多すぎたな」とか「もっとシンプルなワンポイントを出そうかな」っとか。

T.B)そういうのを思いながら次を考えて行くんですね、、、、。

─僕は周りの「人」が自分の世界を広げてくれる話から、ファッションへの思いを目の前のコーヒーに手を付けるのを忘れるくらい聞き込んでしまった。テーブルに置かれたSHOESHINE ORIGINALとはまた違った風合いの『THE DOLLS』というプロダクトに目が行った。

『SHOESHINE ORIGINAL EST2011』
HP:http://www.shoeshine2011.com/
Store:http://www.shoeshine2011-webstore.com/

Photographer:Yuya Mochizuki

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