PERSON

YURIKA

YURIKA

私はYURIKAになりたい


———————————————

東京基地 以下T.B)YURIKAさんがHIPHOPに最初に触れたきっかけはなんだったんですか?

YURIKA)正直なところHIPHOPからではなくて・・・当時流行ってた、Backstreet Boys(バックストリートボーイズ)とかSisqo(シスコ)とかLil Kim(リルキム)とかをお兄ちゃんが聞いてたんですけど、まぁ兄妹なんで影響されて、「うわっ・・・ブリちゃん(ブリトニースピアーズ)かわいい!」みたいな。そこから好きになって、アメリカのin CELEB¥(インセレブ)みたいな輸入雑誌を買ったりしてました。

T.B)それは何歳くらいですか?

YURIKA)中学校2、3年生くらいです!

T.B)それまでは何を聴いてたんですか?

YURIKA)いやぁ、全然覚えてないですね。特に好きなアーティストはいなかったです。

T.B)音楽はそこからの記憶しかない?

YURIKA)記憶が濃いのは、高校でオーストラリアにホームステイに行ってからですね。英語に触れる度に、どんどん洋楽にハマっちゃって。ブリちゃんだけじゃなくて、’NSYNC(インシンク)やJanet Jackson(ジャネットジャクソン)とかも聴くようになって、POPSからR&B、HIPHOPへってどんどんのめり込んでいったって感じですかね。

T.B)その当時は既にラップとかダンスとかはしてたんですか?

YURIKA) してなかったですね。当時はまだ勇気がなくて、ひたすら映画で英語を学んでました。やっぱり言葉を理解したくて「何を言ってるんだろう、どんな内容の曲なんだろう・・・」と思って、歌詞を結構調べてましたね。だけど、まだ当時はラップをやろうとは思ってなかったです。

T.B)じゃあ高校からは?

YURIKA)よりハマってったって感じですね。ただ、私立に通ってたんで、意外と・・・真面目に

T.B)じゃあ割と真面目な、、、?

YURIKA)がっつり・・・そうでしたね(笑)どっちかっていうと。私の中でルーティーンがあったんです。学校に行って、帰りにスタバとか買って、TSUTAYAでDVDとかCDを2時間くらい選んでから家に帰る・・・ってゆう流れが。

T.B)じゃあインドアだったんですね

YURIKA)若いときはそうだったかもしれないですね(笑)

T.B)そこからラッパーになろうと思った経緯は?

YURIKA)それは、大学のときですね。当時通ってた大学が商業科で、周りが男性ばかりだったんです。私の先輩にはDJをやってる人やICE BAHN(アイスバーン)のメンバーとかがいたり、同級生にもHIP HOPに興味ある人が結構いたんで、その人達とよく遊んでましたね。それで、ある日カラオケに行ったとき、Heartsdales(ハーツデイルズ)を歌ってみたんです。当時のTV番組ASAYAN(アサヤン)から出たグループの。すごい好きだったんです。意外と上手く歌えて、これいけるんじゃないかと思いましたね。そしたら一緒にいた人に「YURIKAもRAPやろうよ~」みたいになったんです。それで同級生のDJにレコードを借りて、そのインストでリリックを書いて、MTRで軽く録り始めたんです。それで、録った自分のデモを横浜にあるクラブのオーガナイザーに渡したのが初めてステージに立つきっかけでしたね。

T.B)一番最初に使った曲のトラックって覚えてます?

YURIKA)Common(コモン)のBeですね。

T.B)今と全然違うイメージの・・・

YURIKA)全然違います。ゴリゴリが好きでしたね。90sというか、Wu-Tang Clan(ウータンクラン)とかNas(ナズ)とかに当時はハマってました。

T.B)初ステージは何歳だったんですか?

YURIKA)18歳ですね。緊張しすぎて、歌詞をめっちゃ飛ばしましたね。(笑)

T.B)緊張するんですね(笑)その時からソロでずっとやられてたんですか?

YURIKA)ソロですね。まぁ大学のメンバーとCREW(クルー)みたいなのは組んでましたけど、やる時はソロでした。

T.B)そこから拠点は横浜で?

YURIKA)そうですね。割と当時は横浜のCRIBっていう箱でCREWでイベントやったりとか、関内とか元町とかを拠点にしてました。

T.B)じゃあ、やり出してから日本語ラップを聞き出したんですか?

YURIKA)そうですね。完全にU.Sから入って、おのずとJRAPを聞くようになったというか。

T.B)一番影響を受けた日本人アーティストはいます?

YURIKA)フィメールだと、COMA-CHI(コマチ)さんですね。Junk Beat Tokyo(ジャンクビートトーキョー)で男性の中、劣らずラップしててめちゃくちゃやられました。他には、RUMI(ルミ)さんとか凄い勉強の為に聞いてましたね。

T.B)USAのアーティストもフィメールラッパーを中心に?

YURIKA)ん~割と歌物好きなので、当時はラップでもサビがメロのやつばかり聴いてました。入りがほらっ・・・Backstreet Boysとかなんで、どうしてもメロが欲しくなっちゃうんです。

T.B)オリジナルのトラックで曲を出したのは何かきっかけがありましたか?

YURIKA)SNSで知り合った、地方のトラックメーカーさんにもらって作り出すのが初めてでした。誰かの曲に乗せるのも凄い好きなんですけど、やっぱり自分だけの音源が欲しいなっていう欲が出てきて、いろんなとこでトラックメイカーさんを探してはオリジナル曲を増やしてったって感じです。

T.B)自分の楽曲を世に出したのはいつくらい?

YURIKA)ん~ちょいちょい自分で音源は手売りしてたんですけど、大学卒業して、横浜だけじゃなくて、都内でもやりたいなと思ってたんです。それで、都内でやるようになってから今も一緒にやってもらってるレコーディングエンジニアのHIRORON君(ヒロロン) と出会ったのが凄いきっかけでしたね。KEN THE 390さんのバックDJとかもやってるんですけど、HIRORON君がイチから面倒見てくれて。HIRORON君のトラックでレコーディングしてっていう。曲作りをしてく中で「アルバム作ったほうがいいよ、名刺代わりになるし」って。それでHIRORON君と音源作り出して、TOP BILLLIN’(トップビリン)っていうレーベルを作って、そっから出しましたね。

T.B)そのTOP BILLLIN’から今のDREAM BOYS加入まではどんな経緯があったんですか?

YURIKA)HIRORON君と割と一緒にイベント出てたりで、話す機会が多く色々相談してたんです。それで、HIRORON君がKENさんのバックDJもやってるから・・・KENさんに見てもらう機会が増えたりとか、SKI BEATZ(スキービーツ)のトラックに乗せるコンテストとか、日高(SKY-HI)くんの曲のリミックスのコンテストとか色々挑戦したり・・・超ライブの若い人枠にも出させてもらって・・・で色々見てもらう機会が増えていって、「じゃあ一緒にやろうか?」みたいな流れです。

T.B)DREAM BOYSに加入して、変わった事はあります?

YURIKA)やっぱり、一人じゃ出来ない事も沢山出来る様になったし、見てもらえる、聴いてもらえる人がかなり増えました。それが一番大きいですね。

―リラックスムードの中緊張から解かれ、ラフなテンポで会話が進む中、僕は少し答えづらいであろう質問をしてみた・・・。

T.B)ちょっと踏み入った質問を・・・「女性だから」っていう部分で悔しい思いをした事ってあります?

YURIKA)うん、ありますね。例えば、女の子がラップしてる時点で甘く見られるっていうのはあるから、ラップだけじゃないかもしれないけど。「女の子のラッパーでしょ、そんな上手くないっしょ」みたいな・・・って最初は見られるし。私はそれが一番嫌だったんですよ!だから「絶対かっこよくライブしたい」っていうのは常に思ってて。負けん気が凄い強い性格なんで、毎回みんなが圧倒するようなライブをしようって思ってました。だから自分の中で一番大事にしてるのは、音源をしっかり作るのもそうなんですけど、一回一回のライブで全力投球することですね。昔、なんかのイベントで自分がライブする前にバーカンで飲み物頼んでたら、知らない男の子にナンパされて「えっ、、、今日どっかから来たの?一緒に飲もうよ」みたいな(笑)「あ~ちょっといいですぅ」って断って(笑)「俺、あとでラップするからさぁ見ててよ」と自慢げに言われて(笑)「へぇ~そうなんですねぇ」って言って(笑)で、その男の子の後に私がライブをしたんですね。で、ライブで見返してやると思って、カマしたんですけど、そしたらそいつが「あっ・・・(ペコ)あっ・・・(ペコ)あっ・・・(ペコ)」みたいな(笑)「ごめんねぇ私も音楽やってるんだよねぇ」って言ってやりましたよ。(笑)凄いその時は気持ち良くてたまんなかったですね!(笑)

T.B)それは気持ちいいですね(笑)そういうことが現場にはあるんですね

YURIKA)そういうことが昔は結構ありましたね。当時はまだ男社会な部分があって、フィメールラッパーの人口はそんなにまだいなかった気がします。

T.B)最近だと、フィメールラッパーも増えてきたと思うんだけど、YURIKAちゃんから見て今のフィメールラッパーのシーンはどうですか?

YURIKA)色んなジャンルとスタイルの人が出てきてるのでかなり面白いですよね。ちょっと前も居たと思いますが、最近のほうが色々目立ちますよね。今は結構ポンポン、私も目に見えるくらい出てきてるから、かなり面白くなってきてるんじゃないかなって思います。沢山出てきてくれた方が、自分自身も刺激を受けますし、切磋琢磨できますね。

T.B)突然なんですけどラップを辞めようと思った時はあります?

YURIKA)思い通りに曲が作れなかった時とかはいつも思います。辞めたほうがいいんじゃないかぁって・・・本当に辞めようと思った事はあんまりないですけど、自分の実力ってこんなもんか、って凹みはしますね。それ以外はないですね。やっぱりライブをした時の感覚、快感は一番自分らしく居れる場所だなって実感するので、ずっと続けてたいなって思いますね。

T.B)今までで一番印象に残ってるライブはあります?

YURIKA)自分のワンマンですね。色んなライブをさせてもらってるんですけど、大体普通は20分くらいのライブ時間なんですが・・・アルバムを出して、何時間という一人のステージをみんなに見て欲しくて、頑張ってワンマンをやったんです。やっぱりワンマンをやったことで凄い成長できたし、自分の実力もそこでわかるし、1時間半という時間を飽きさせずに見せるにはどうしたらいいかとか凄い考えたし、一緒にいつもライブをサポートしてくれるダンサーたちやDJ、レーベルのみんなで一緒に話し合ったりして、作りあげたワンマンライブをやり終えたときは、この上ない幸せでした。あぁもうやりきったみたいな。

T.B)そこで燃え尽き症候群みたいな事はならなかった?

YURIKA)もっとでかいステージに立ちたいなって思いました。今回はasiaだったけど、またひとつずつ大きい場所でやってみたいなって。次はリキッド・・・その次は武道館みたいな。

T.B)ところで、YURIKAちゃんが今のスタイルになったきっかけ、ターニングポイントは?

YURIKA)あぁ~ラップし始めた時は、さっき言った90sよりっていうか、横浜でやり出したってのもあるんですけど、一緒にやってた人がめちゃくちゃラップが上手くて、それこそTAKUMAくん(TAKUMA THE GREAT)とか、周りも90s寄りで自分もそういうのが当時は好きだったんで、そういうスタイルでやってたんですけど、歳を重ねていくうちに、自分の世界観、趣味も好きな音楽も変わるじゃないですか。で、いろんなジャンルの音楽を聞いてて、前に出したADIANTUM(アジアンタム)はその影響で型にはまらず、色んなスタイル、色んな曲調がやれたらいいなって思って、どこまで色んな自分を出せるかっていうのを詰め込んだアルバムになりました。

T.B)常に最新の音、事を取り込みつつっていう感じ?

YURIKA)勿論、基盤にある自分のスタイルは持ってるけど、音楽をやってる以上色んな事をやってステップアップしたいなっていう気持ちはいつも持ってて。最近出した、Walkin’ on the Tokioは今までのYURIKAとは違い、新しいスタイルを見せた曲になってるんですが、やはり最初は賛否両論色々言われたりしました。でもみんなそうだと思うんですよ。聞き慣れない音楽だったら「なんだ?!」って思うリスナーの人もいるし、前のが良かったって思うリスナーも居るし。でもKENさんに言われたのが「Hateがある分、Propsが増えてきたんだよ」って。だから逆に褒め言葉だと思えって。自分がどんどん、見られてる度数が増えてきてる証拠なんだよって思えばいいんじゃないって。だから、最初は落ち込んでましたけど、そうゆう風に言われて「Hateどんどん来い!」って「好きなだけDissってこい!」ってね(笑)で、最初はそうでもずっと今の自分の世界観を見せ続けていれば多分受け入れてくれる、みんな付いてきてくれるって思ってて。だからそういう感覚でやってこうかなって思ってます。

T.B) ZEN LA ROCK(ゼンラロック)さんとの曲Dig It The Vintageを見て洋服をテーマにしてて面白いなって思ってて、YURIKAちゃんはファッションアイコンイメージが付いたんですけど、お洒落をする際こだわりとかあります?

YURIKA) (笑) めっちゃジャンルレスですね。Dig It The Vintageは勿論古着にフォーカスしてるんですけど、メッセージ的には古着を推してるというよりは、結構似た格好の女の子を街中でよく見かけて、タレントやモデルを真似てんのかなーって思っちゃって、それだったら自分らしく、いろんなジャンルにトライして自分に似合う一点物を探そうよみたいな曲なんですよね。だから最終的に伝えたいのは、誰かの真似や似た様な格好しなくても可愛くなれるよって!


yurika_2

T.B)YURIKAちゃんのコーディネートを見るとメンズアイテムを取り入れたりしてますよね?逆にコンサバ系を見た事ないですけど、しますか?

YURIKA)しますよ!!(笑)私ジャンルレスなんで・・・Ungrid(アングリッド)とか超好きだし、A.P.C.(アーペーセー)とかも好きだし。結構色んな格好するんですよ。なんか・・・こういうっぽいよねってなりたくないんですよ。なんかいつもスポーティーなのがYURIKAみたいなのが自分的に好きじゃなくて。たまには女の子っぽい可愛い格好もしたいわけですよ。

T.B)じゃあ・・・例えば、好きな男性がこういう格好が好きって言ったら寄せたりするんですか?(笑)

YURIKA)寄せますね。だって彼が喜んでくれるなら・・・ブッ(笑)色んな人に言われるんですよ。(笑)見た目はこんな感じだけど、曲を聴くと歌詞が乙女だよねって。「あ・・・わかっちゃいました?」って(笑)なんかね・・・イカつい女の子のラッパー好きじゃないんですよ。ダボダボで・・・いや、勿論自分もありましたよ若い時は。フープのピアスでLB-03で、ティンバー履いてとか。全然あったんですけど、勿論カルチャー的には大事なんだけど、やっぱり女の子は割と可愛く見える服を着てた方が絶対いいと思ってて。メンズの服を選ぶんだったら私の場合、上下ダボダボじゃなくて、上はゆるめだったら、下はタイトにしてボディラインを見せようってのが好きですね。Hip Hopやるならイカつくしてなきゃっていうのが私はちょっと分からなくて。それもそれで全然ありだし、ディスる訳じゃないんですけど、私は女の子は女の子らしさを忘れちゃいけないなって思いますね。

T.B)意外な一面ですね(笑)今のフリースタイルダンジョンとかでHIPHOPが盛り上がってる中で、今後どうなっていって欲しいとかあります?

YURIKA)ん~難しいですね。色々ムーブメントはあるなって思ってて、もちろんその一つがフリースタイルダンジョンで、色んなシーンが沢山あるというか。最近ラッパーやDJ、フォトグラファーなどがクルーになってるのが多いような気がします。KANDYTOWN(キャンディタウン)、YENTOWN (イエンタウン)とか。そういうので名前が売れて行くっていう人達もいるし。昔より、HIPHOPに凄く入りやすくなった気がします。私がやり始めた時は、ノルマ制で平日なのに10人呼べ、呼べなかったら1万払えっていう世界。呼べなかったらずっと一番手。だから結構叩き上げで来てたんで、縦社会というか。今は結構イケてたらポンッっていくじゃないですか。歴とかじゃなくて、イケてるのはイケてるみたいな。それは昔よりやり易いのかも知れない。私の育ってきた環境とはちょっと違うから色々ついて行くのも大変なとこもありますけど。でももっと、ここまで色んなシーンが出てきてるから、女の子にももうちょっと気軽に出てきて欲しいなってのもあるし、まだこんな立場ですけど、プロデュースもしてみたいなっていうのもあります。女の子の。歌詞を書かせて頂くお仕事もあって、そういうのもいいんじゃないかなって思ってて。それがきっかけで、ラップを始めるのもいいと思うし。逆に私は誰かが書いた歌詞でラップしてみたいなっていうのも思うし。なんかまた自分じゃ出来ないものが出来るかなって思ってて。

T.B)今後の展開としてはどんな事を考えてるんですか?

YURIKA)ん~またアルバムを出したいと考えてます!そのこないだ出した曲も然り、まぁ自分の世界観を取り入れながら、アップデートしたYURIKAを見せていける一枚になればいいかなっていうのはありますね。もう本当YURIKAは一番ズバ抜けてるなって思わせたいんで。ずっと思ってるのが、私はアイコンになりたいんです・・・「私はYURIKAになりたい」っていう女の子が増えてくれる事を目指してるんで。ファッションもそうだし、自分の音楽、考え方も共感してくれて、「YURIKAみたいになりたい」っていう風に思ってくれたらめちゃくちゃ嬉しいかな。もっと女の子には前に出てきて欲しいし。音楽もイケてるし、ファッションもイケてるし、中身もイケてるしみたいな。まとめたら・・・結局YURIKA可愛いねって(爆笑)

T.B)(爆笑)今日はありがとうございました。

YURIKA)(笑)ありがとうございました。

「私はYURIKAになりたい」と思われる存在になりたいというYURIKAちゃん。自分自身も常にアップデートをし、描く理想の先にある、”YURIKA”という存在を追い求めるYURIKAちゃんはHIPHOPを通じて女性の強さをストレートに発信している代弁者だった。

YURIKA
Adiantum
https://itunes.apple.com/jp/album/adiantum/id915261791

Instagram
https://www.instagram.com/yurika1245/

ameblo
http://profile.ameba.jp/yurika–blog/

Photographer:Reika Figuigui

  • Facebookでシェア