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スタイリスト 江崎 聡

免許も資格もないからこそ、持つ『こだわり』

Guest:Satoshi Ezaki

T.B)江崎さんにとってスタイリストってなんですか?

江崎)ん~、、、隙間産業。だって正直いなくてもいいですもんね。センスあるタレントさんだったら、タレントさんが着たい服を着ていればいいけど、着たい服を用意する時間がないっていうだけでしょ。雑誌社もメーカーからオススメのモノを送ってもらってコーディネートを組んでもらえば済む話しだけど、雑誌の色とかを考えるんだったらスタイリストをワンクッションを挟んで組んでもらうだけですもんね。

T.B)凄いクールですね(笑)

江崎)隙間産業ってちょっとマズイかな(爆笑)どうだろうね、、、雑誌社で予算が無い中で一番最初に削られるのはスタイリストだと思うんです。だって街中スナップにしたらいいわけで、メーカーさんの広告だったりタイアップがあればいいでしょ・・・。

T.B)でも、それをわかってて仕事が出来てるのは凄いですよね。

江崎)隙間産業って言うとちょっと語弊があるのかもしれないけど、隙間産業だからこそ、スタイリスト江崎を入れたらスタイリングだけじゃなくてこういう事もやってくれる、ああいう事もやってくれるって思ってくれることが大事で。勿論その、、、自分が思うセンスだったり、作り上げたもので人を納得させれたら一番いいわけなんですけど、見る人によって違うわけじゃないですか・・・なんだろうね。架け橋だね。それはいわゆる、隙間産業でもあって、発信する側の間に入って、良い発信の仕方をするっていうか。視聴者だったり、読者だったりの架け橋かな。

T.B)新鮮な表現ですね。

江崎)だから普通のスタイリストと考えがちょっと違うと思うんです。いわゆるスタイリストっていう感覚がないから・・・。軸はスタイリストとしてやりたい事はいっぱいあって、学校の講師もスタイリストだからこそ行ってるし、新しいお店を出したいっていう構想もあるし。それもスタイリスト発信で考えてますし。ん~、、、スタイリストを軸に色んな事がしたいんですよね。結果、スタイリスト江崎に頼むと、色んなフィールドに活かせるっていう。

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T.B)そうなんですね。その話しに通じてるように江崎さんはブランドのモデルとかもされてますよね?

江崎)まぁ、裏方なんだから表にでるような事をして顔を売ってくしか無いって。

T.B)じゃあスタイリストっていう肩書きを取っ払って、江崎聡として売り出してるって事ですね。それをやる事で状況が変わった事ってありますか?

江崎)う~ん、、、今BOUNTY HUNTER(バウンティーハンター)やらさせてもらってるんですけど、バウンティーは知名度がめちゃくちゃあるから、そこのモデルやってるとか、繋がりがあるってなると、色んな所に繋がって行きますね。バウンティー絡みの繋がりの所とか。ムラサキスポーツのモデルもやったんですけど、その辺は地方に発信出来るモノかなって。全国展開してるし、もちろん地元の友達とかに見てもらえたり。

T.B)モデルとしても発信出来るって凄いですね。

江崎)いやいや、ただまぁ協力出来る事はしますよ。俺からやらしてくださいって言ったのは一個もないけど、自分が協力する事でプラスになればいいなと思うし。別に、、、モデル目指してないけど(笑)それこそ紙面で見た事ある人がリースで来ると貸しやすいとか、まぁ、、、むしろファッションスナップに出て、名前を売って初めて聞いた事がある人より、名前を知ってる人に貸す方がいいだろうし。

T.B)そうですよね。そういう一つの手段と言う事ですもんね。

江崎)顔売ってるっていう意味ですね。裏方だからコネクションが必要ですからね。あんまり好きな言葉ではないですけどね。コネクションっていう言葉は。

T.B)結構ドライな一面もあるんですね。

江崎)あっ結構ドライかもしれないですね。あとは営業はしないですからね。来た仕事をやる。オーダーされた以上の事で納品はするけど、あんまり自分から営業はしないですね。

T.B)ギャランティの基準は自分で決めて交渉をしてるんですか?

江崎)ん~、、、基本言い値ですけどね。一応これでどうですか?って言われて低いと思って、断って、他のスタイリストさんに行くくらいなら、、、葛藤はありますね。別にその金額でやろうと思わないって思ったら断るし、まぁ時間があれば安くてもやってもいいんですけど、出してくれる金額によってこっちのクリエイターの気持ちも変わるので、予算は低いけど、他の部分でケアしてくれたり、一緒に作り上げるんだったら多少のギャランティをもらった方が一緒に頑張って作り上げたいなって思いますよね。一応それが軸で生活をしてるので。

T.B)そうですよね。そこの葛藤も絶対ありますよね。それで生活をしなきゃですもんね。

江崎)まぁ、、、スタイリストをやりながらでも色んな事してますね。3年前かな、、、ショップ店員やった事なかったんで、ショップ店員もしてみました。GOODENOUGH(グッドイナフ)ですね。ショップスタッフをやってみる事によって消費者の考え方だったりとか、お店側の考えてってどんなんなのかなーってやってみました。バーテンダーもやって色んな人と話すっていうのもやってみたし。全く自分が興味ない人と話さなきゃいけないっていうのも大事だなぁって思ってやってみました。

T.B)いろんな切り口からスタイリストっていうものを見てますよね。

江崎)縛りがないじゃないですか。その分色んな事が出来た方が、スタイリストとしての幅が広がるというか。物は考えようじゃないですかね。

T.B)なるほど。スタイリストのスタイルに正解はないんですね。でも街中でアシスタントさんはバックもって走り回ってるイメージが強いですけど、それを経てからも自分っていうスタイルを確立をするのも大変なんですね。

江崎)でも、、、初めに戻りますけど、スタイリストっていう仕事に対しての、思い入れや憧れがなかったから、こんな仕事なんだ、こういう仕事なんだって思いながら仕事をしてたから、凄い憧れてる人は厳しいと思いますね。現実こんなんなんだとか。憧れがなかったから良かったのかもしれないですね。なんでもそうだけど、ショップスタッフで雑誌に出て、お客さんにオススメの洋服を売るっていう憧れがあったのに、実際に入ったら、ブログばっかり書かされたり、タグ付けばっかりやらされたり、、、っていうギャップはなかったですね。

T.B)ある意味、もの凄く仕事として割り切ってるって感覚ですね。

江崎)うん。まぁそれを続ける事によって不満が出て来て、意地ってさっき言いましたけど、何回も辞めようと思ったし、ここまできたならスタイリストになってみて、それでも面白くない、仕事が来ないってなったら辞めようって思ってたかな。でもやってみなきゃわからないでしょ?

T.B)で、今もやってると言う事は面白いって事ですよね。

江崎)スタイリングだけでやってたらたぶん辞めてますね。色んな切り口でスタイリストを楽しんでるから続けてますね。

T.B)いやぁ、、、今日は本当に楽しい時間ありがとうございました。スタイリストさんの大変さと魅力がよくわかりました。

江崎)本当ですか?ありがとうございました(笑)

憧れがないから、続けられると言う江崎さん。一見、ドライと思われてしまうような考えでも洋服への愛が溢れてるからこそ、人と人が繋がり、江崎さんの所に仕事が来る。スタイリストという職業を色んな切り口から見るからこそ、その本来の奥深さを知る。人としての味を表現する江崎さんの話を聞いて、スタイリングの奥深さに気づかされた。

Photographer:Reika Figuigui

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