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Finders Keepers

リアルクローズでハイクオリティでなければいけない

Guest : Kazuyuki Akitani

T.B)服を作る際の秋谷さんのこだわりは何ですか?

秋谷)  今だから言えるんだけど、当然最初の段階では、そういう風には思えなかった部分もあって、、、ここ最近、ブレずにフィロソフィーとして謳ってるのは、とにかくハイクオリティーであること。何故かって言うと、もう世の中には星の数ほどブランドはあるし、洋服なんて日々履いて捨てるほどあって完全に飽和している。星の数程あるブランドからFinders Keepersをいかにキャッチアップして頂くかっていう所で勝負をしなければいけない。もう今は”安い”か”高い”かの二極化になってると思うんだよね、いわゆる中途半端なゾーンの洋服っていうのは一番シビアで危険な世の中になってると思う。僕らは高いゾーンの中で勝負しているんだけど、その中でのオリジナルのスタンスを築かなければいけない。一番高いというのはデラックスブランドとかでCHANEL(シャネル)だったり、Dior(ディオール)だったり、SAINT LAURENT(サンローラン)だったり。安いのは当然SPAブランドだよね。ファッションの世界はもう全てが新時代に突入しているから、従来の考えかたや、戦略ではもう生き残れないとも思ってる。必要とされるにはよほどのストロングポイントが必要だと思う。その事実を本当に見つめ直さないと誰にもキャッチアップされない。だからこそ僕がプライドであり、ストロングポイントにしているのがハイクオリティであると言う事なんだよね。

T.B)作品を打ち出す様な感覚ですよね。

秋谷)そうかな。でも僕らが徹底してるのはリアルクローズでなければいけない。で、誰でも着れる物、、、だからベーシックでシンプルじゃないとダメ。そこにさらにハイクオリティーが付いてくる。なぜハイクオリティーかって言えば、そもそも僕らの様な流れでプロダクションしていくと必然的にある程度高額になってしまう。先も言ったけど中途半端に高いのが一番いけない。それには120%説明が出来る様に。こだわり抜き、逆に商品説明を聞いた後にプライスを聞けば「安いね」って思われるような物を作らなければいけない。それが購買の物差しになる。それを一人でやろうとすると、沢山は作れない。僕が一人でやっているから、多くは考えられないし、管理もできない。毎シーズン少ない品番だけど、徹底的にハイクオリティーな物を届けるっていう。今は革ジャンのラインがあって、シャツを軸にしたアパレルラインがあって、最近始まったんですけど、テーラードラインもキックオフしたね。今は3つのカテゴリー。あと1カテゴリー増やす予定なんだけど、でもまぁ毎回少ない品番で。あと拘っているのは、餅は餅屋での精神。そのカテゴリーを切り開きたければ、そのジャンルのプロフェッショナルと組んで作っていくこと。革ジャンであれば、馬革では日本一のスペシャリストのタンナーさんに依頼したり。デニムだったら、同世代がやってる岡山県の児島の仲間に依頼している、テーラードやアパレルに関しても、僕が小学生のころからこの世界にいらっしゃる重鎮に依頼してるし、、、そこだけOEMって形になるんですけど、でもほぼ僕もプロダクションに参加してやってるんで。シャツにしてもドレスシャツのクオリティーでアメリカンカジュアルのシャツを作るっていうコンセプト。その甲斐あってFKのシャツは着た時に肩から胸に掛けて吸い付くようなフィッティング感で必ずリピーターになる。その流れを踏襲したテーラードファクトリーでスーツも作って頂いてる。それこそ錚々やるデラックスブランドが指定する日本屈指のファクトリーで、生産して頂けると言う事は夢の様です。

T.B)凄いですね。そこは秋谷さんの繋がりでっていう。

秋谷)まぁ一個一個やっていって、紐解いて見せていって理解していただいたからできたというか。最初からアレもコレもやろうとすれば質は当然下がるよね、工場の方からしても何を言ってんの?って話しになっちゃうんで。リアルクローズとしてハイクオリティーのファッションを提案していくという中に、ジーンズがあって、革ジャンを着て。だけど日々、若い頃のように革ジャンとジーンズだけで都市生活はできないでしょ?っていう。そこはスタイリスト目線なんですけど。例えば僕も息子の行事にはさすがに革ジャン、ジーンズでは行けない。年齢を重ねると様々なシーンが出て来る。TPOだよね。どうせならジャケット着なきゃいけないとか、コート着なきゃいけないっていう時に、一目置かれるハイクオリティーな東京メイドの服っていうのが、そこで必要なんですっていうアプローチをしたら「なるほど、それなりの物を作りたいなら協力しますよ」っていう。うちの革ジャンと並ぶクオリティーのテーラードってなると、そんなに選択肢はないんで。そういう思いでカテゴリー展開を。一張羅では革ジャンを着よう。フォーマルなシーンの時は仕立ての良いジャケット、コートを着よう。家族でアクティブにいくときには、ギアスペックなダウンを着ようとか、、、15A/Wから始めたダウンジャケットは滋賀のNANGA®(ナンガ)さんにプロダクト依頼をして作っていて。都市生活を送る一人の人間が、あらゆるシーンにパーフェクトな装いで過ごせる為の展開をFinders Keepersとして打ち出していっているんだよね。

T.B)革ジャンもオーダー出来るんですよね?

秋谷)革ジャンって捨てる人間はあまり居ないと思うんで、一生付き合って行くと思うんで。後に子供に受け継いだりとかはあると思うんですけど。長い期間着るジャケットだと思うんで、ちょっとあそこが惜しいなっていう風に思いながら着ていくと、人間は意識がほころびてくると嫌になり着なくなってしまう。ただそれは勿体ない事なので、可能であればパーフェクトなメジャーリングをかけて、パーフェクトなサイズ感で着ていって欲しいっていう所から、ご依頼があれば、体系に合わせて作る事もありますし、バイクに乗るために袖を少し伸ばして作ったりいう事はやってますね。そういう所が、スタイリスト目線というかね、デザイナーが作った企画だけで着てくださいの一歩先っていうのは、スタイリスト目線が生きてるのかなって思いますね。

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T.B)今後Finders Keepersはどんな展開を考えてるんですか?

秋谷)今まさに、、、東京は、ファッションの世界が縮小、縮小になっていってると思うんです。次の世代に伝えていきたいっていう思いは当然強いんで。発信の仕方、アプローチの仕方っていうのはもの凄く考えてる事で、今は、東京世田谷の環八沿いっていうファッションエリアからは一番アウトサイドな部分でやってるんですけど、仲間が秋頃を目指して、渋谷エリアにセレクトショップを出す計画があってそこのメインブランドを任されています。僕らはアメカジという名の渋カジをやってるっていう意識が高くて。東京で僕が通って来た色んなジャンルを通って、色んな良い所を見て自分を構築しているように、Finders Keepersの打ち出しもそうなんで、誰がどんなジャンルで着て頂いても良いってことで”現代の渋カジ”を提案する場所を作りたいと、、、作らなければいけないとかなと。若い世代にも、それを通って来た振り返れる世代の人達にも提案できる場所を日本の中で渋谷に作らないとダメだろうなって事で。そこでもっともっと多くの人に触れて頂きたいっていう構想が今ありますね。あとは日本で売ってないインポート物もセレクトで置いたり。それこそ、今はネット社会だから知らない商品ってあんまりないじゃないですか。でもアメカジ、渋カジっていうものに限って、まだまだ僕らのセンスやチャンネルでないと提案出来ないアイテムも構想にあって数は少なくなるかもしれないですけど、厳選して提案します。それこそ、原宿のDERIVE(デライブ)のヒサシ君とも色々と話してるんで。あと、、、もう一個、今年の展開で、、、RIZE/The BONEZのJESSE君とライダースジャケットを作っていて、東京を代表するアーティストにFinders Keepersの革ジャンを着てもらいたいっていう思いもやはりあって、そう考えるとJESSE君しか居ないなって仲間達と話していて。ちょうどそのメガストアをやる仲間がJESSE君と仲良くて、縁あって繋がって、あれよあれよとライダースジャケットの企画が進んで夏頃発表するんです。

T.B)それはめちゃくちゃ楽しみですね!ワクワクします!今日は本当にありがとうございました。

秋谷)楽しみにしていてください。ありがとうございました。

リアルクローズでありハイクオリティー。そのカテゴリーのプロフェッショルとタッグを組み、時と場所に合ったコーディネートができる洋服作り。秋谷さんのスタイリストとしての経験と通ってきたカルチャーが120%落とし込まれ構築されているFinders Keepersは”現代の渋カジ”を今後も僕たちに様々な角度から提案してくれるに違いない。

『Finders Keepers』
東京都世田谷区等々力2-5-3
03-3702-0888
http://www.finderskeepers.jp/

Photographer:Reika Figuigui

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